こんにちは。大学薬学部の職員のゲルバです。
前回の記事では、薬学生の就活のざっくりしたスケジュールと、実務実習の活かし方などについてお話ししました。
今回は、具体的な進路の候補先を知って検討が始められるようになるために、以下のことについて見てみたいと思います。
薬学生の主な進路先はどんなところ?
下の表は、薬学教育協議会という団体の調査結果(各大学が毎年回答させられるもの)をもとに私が作成した、卒業年ごとの就職先の内訳です。
これを見てもわかる通り、割合として多いのは薬局、ドラッグストア(調剤部門)、病院、医薬品関連・化学系企業で、それぞれ21年卒業生の場合は31.1%、19.4%、18.5%、7.5%となっています。
医薬品関連企業とは主に製薬企業・治験企業で、化学系企業は正確な定義の記載が見つけられなかったので推測ですが化粧品やシャンプーなどのメーカーや、農薬などのメーカーとかのことだと思います。
そして、主な進路先の中で薬剤師の資格が必須なのは、薬局、ドラッグストア(調剤部門)、病院、公務員(薬事職、麻薬取締官)、医薬品卸の一部の職(管理薬剤師)、製薬企業の一部の職(品質管理)などです。これらの業種・職種については、内定がとれていて大学を卒業できたとしても国家試験に合格しないと入社保留や実質的な内定取り消しとなってしまい、それが表の「未定」の人の主な状況です。
これらの進路先割合を経年で比較すると、病院と企業が減少傾向であり薬局・ドラッグストアが増加傾向(表中の赤枠を参照)ですが、この要因は何でしょうか。
答えは一つではないと思いますので正確なことはわからないですが、大学職員としていろいろな情報に触れるなかで私が感じているのは以下のことです。
- 薬局やドラッグストアのほうが病院やメーカーより就職のハードルが低い と思われている。
- お給料の面で薬局やドラッグストアに魅力を感じる学生が多い。
- 仕事の内容について、薬局やドラッグストアのほうが他より楽だと思っている学生が多い。
- 薬局やドラッグストアのほうが病院やメーカーより就職先の検討材料になる情報がとりやすい。
このあたりまではきっと多くの学生がなんとなく実感としてもわかりやすい要因なのではないかと思います。でも、上記はだいたい学生目線の要因で、それだけではなく採用側目線の要因として、
- 薬局やドラッグストアの採用競争力が相対的に高まっている、というか社会に対して担う役割とかビジネスにおいてさらなる成長を見据えた採用強化
が背景にあるよな とけっこう感じます。
そんな中でこれから社会に出る薬学生として大事なことは、あたりまえのことにはなりますが、自分がどんな職場でどんな強みを活かして働きたいかをしっかり考える、つまり、「誰のどんな課題解決に貢献したいのか、それを通してどんな対価を得たいのか」について自分なりの答えを見つけることだと思います。(このあたりについては、今後別の記事で自己分析のしかたとか企業分析のしかたなどのかたちで詳しく説明しようと思っております。)
そして、上記のように学生さんが適切に自分に合うキャリア選択ができるように、大学としてはいろんな業種・企業の情報を偏りなくタイムリーに提供し、学生さんが自分のキャリアを考える支援に努めることが超大事 だと思っています。がんばります。
情報収集のしかた
ちょっと羅列になってしまい申し訳ないのですが、極力わかりやすくなるよう図にしてみました。
この図の通り、いろいろな情報源があることがおわかりいただけたと思いますが、大事なことは
- それぞれの情報源のメリット/デメリットを理解して活用しよう
- 情報収集のフェーズとして、 とっかかり ⇒ 深掘り ⇒ 整理 を意識し往復しながら理解を深めていくといい
ということです。
この図、若干見にくいのはブログ初心者だから御愛嬌として、内容としてはかなり参考にしてもらえる気がするのですが、どうでしょう。就職活動の前半戦(選考に臨むまで)にやってみるといいことの全てがこの図に網羅されているといっても過言ではない気がします。よければ感想ください。
最後に一点だけ、多くの人が活用すると思われる就職情報サイト等のことについて触れておきます。
就職情報サイトのビジネスモデルは、自社サイト上に採用側企業の求人広告を掲載することによって得られる広告料や、自社で運営する合同企業説明会などのイベントに企業に出展してもらうことによって得られる出展料を収入源としています。
従って、これらの業者は、顧客である企業に満足してもらうために学生のアカウント登録やエントリー数を稼ぐことに躍起になりすぎる場合があり、「他の学生さんはみんなエントリーしていますよ」とか「今エントリーしないと就活に乗り遅れるよ」みたいな煽りが過熱する傾向があります。もちろん、学生目線でいろいろ考えて頑張っている信頼できる就活アドバイザーさんも私はたくさん知っていますし、多くの企業にエントリーして経験値を上げていくことも良い進め方ですが、煽りに囚われてご自身のペースを崩さないよう気をつけてください。大丈夫です、マイペースでも真剣に考えている人は納得いくキャリアを歩んでいけます。
また、就職情報サイトと似ていて少し異なるのが人材紹介業者です。
これらの業者は広告掲載とかではなく採用できる学生を紹介すること自体で企業から対価を得るビジネスです。(エージェントなどとも呼ばれ、転職市場だと新卒市場よりもよく活用されたりしています。)
こちらも信頼できるエージェントにサポートしてもらえれば問題はありませんが、場合によっては求職者(=学生)の意向にはたいして耳を貸さずに無理やり企業に売り飛ばすケースもあります。
これももし活用される場合は業者自体も紹介される企業もよく見極めることを強くお勧めします。(個人的には、新卒マーケットで人材紹介に頼らないと採用できないような企業は何らかの点で競争力が弱いのだと思います。)
まとめ
・いろんな選択肢を広く知ったうえで「誰のどんな課題解決に貢献したいのか、それを通してどんな対価を得たいのか」について自分なりの答えを考える。
・情報収取についてもそれぞれの情報源のメリット/デメリットを理解して活用しよう
・情報収集のフェーズとして、 とっかかり ⇒ 深掘り ⇒ 整理 を意識し往復しながら理解を深めていこう
最後まで読んでくださりありがとうございます。
コメント